たとえ隙間風が吹いていても
2023.06.02
製造プロセスの価値…C3-NETは調整する。
はじめに…法令遵守は絶対です。その点につてはプロセス（過程）として扱いません。
【消費者目線…製造プロセスは商品ではない】
例えばここに一つのファッションアイテムが存在するとします。
とても魅力的な生地
とても素晴らしい着心地
とても洗練されたディテール
そして適正な価格
このアイテムをとても気に入ったあなたは購入しようと思いました。
その時あなたはこのジャケットが「誰の手によってどういう現場で作られたか？」を考えるでしょうか。
確かに業界の人間であれば多少気にするかもしれませんが、一般の消費者としてのあなたが見ているモノは、おそらく目の前にある完成品です。
この点は逆に考えると非常にわかりやすいのです。
魅力的な原料
素晴らしい環境配慮
洗練された職人の手による縫製
自分の価値感と合致しない価格
もし、そのようなセールストークを聞いたとしても生地（ビジュアル・タッチ）、着心地（パターン）、ディテールなどの意匠（デザイン）、価格のバランス（バリュー）が響かなければ、購入意欲が沸くことはほとんどの場合「無い」と言って差し支えないでしょう。
現代のファッションとはそういう性格のモノであり、あなたは完成品と対話して「買う」「買わない」を決めてきたと思います。
【メーカー目線…製造プロセスは商品の一部である…はず】
1）原料
・環境と人に配慮した○○素材
・大量生産できない○○染色
・日本に数台しかない○○織機
・現在は生産されていない○○編み機
2）企画
・○○によるプロデュース
・○○とのコラボレーション
・○○によるデザイン
・○○によるパターン
3）縫製
・管理が行き届いた○○縫製工場
・○○人労働者による○○国製
・人に極めてやさしい○○な労働環境
・○○裁断技術や○○縫製技術
さて上にあげた3つのなかで、消費行動に大きく寄与するのは「企画」の部分なのです。もちろん企画は原料や縫製とも重なっていますので、完全に切り離して考えるつもりはありません。なお、私にははある期間店頭に立って接客していた経験がありますが、消費者が似たような商品が並ぶなかから、選択に使用する要素は、ビジュアルやキャラクーやブランドであり、最も重視する要素は、自分に似合うかどうかということは明確でした。
「原料」や「縫製」は一部のマニア向けのセールストークとして、稀に購入の後押しをする場合はありますが、それはほぼ購入意思が固まっている（マニアの）背中を、指先でそっと押すレベルです。
ファッションアイテムは、身に付けて自分を演出する道具であり、（マニアを省いては）壁に飾ったり、クローゼットに並べて眺めるモノでは無いということです。
【製造プロセスは精神的支柱？】
コロナショックで大打撃を受けたアパレル業界。関係者の中には、進んでいた斜陽が10年早く進み、もう引き戻せないのではないかと、冷静に分析する人もいます。そのような厳しい市場に対して、MDも営業も生産も「やるだけのことはやった！」という約束が欲しいことは、私も痛いほど理解できます。
売り上げが順調でない場合、「なにかのせい」になるものを、すべて排除したいのが本心だと思われます。「生地生産背景や縫製工場背景が良くなかったから売れなかった」と、後悔することが無いように、拘るのではないでしょうか。
一方、ヒット商品を生んだり、ブームに乗ったりして売れている場合は、その要因の一つに「製造プロセス」が含まれており、そこをぞんざいにしてしまうと、「今」が足元から崩れるのではないかという、恐れを抱いているのではないでしょうか。
高水準（と思っている）の原料と、高水準（と思っている）の工場を使うことが、今より悪くならない為の要素であると…
【真に価値のある製造プロセス】
先のようなこともあってか、フリヤの業務も行う当事業所にも、執拗に背景について質問されることがあります。それが「法令遵守」を問われているのでしたら、十分理解できるのですが、それ以外の…いわゆる普通の会社概要的なものを、心配される場合があります。
お気持ちは十分理解できますが、取引先は当事業所であり、当事業所は責任をもって製品（成果物）を完全な形で納めることをお約束して、注文を請けております。万一「納期」「品質」「価格」に契約から外れることがあった場合、その責任はすべて負う覚悟があります。
その為には依頼内容によって、規模や技術力のバランスも考慮したうえで、適切な工場とチームを組みます。
つまり、製造プロセスを含めて「調整・生産」するのが、当事業所の役割だと考えているのです。
その結果キラキラした縫製工場とチームを組むこともあれば、隙間風が吹くような縫製工場とチームを組むこともあります。前者が万能で、後者が妥協ではないことは多くの人が知るところです。
人間にも様々なキャラクターがあり、得意分野があり、その逆もあります。魅力もそれぞれ。見る側の個性によって、印象は本当に様々です。
堅牢な建物で、最新の機械設備、多くの従業員を抱え、見た目にはスマートに仕事をこなす。聡明で紳士的な経営TOPのいる現場が、万人にとって「価値のある製造プロセス」ではないことを是非、ご理解いただきたいと思います。
ドレスでも、カジュアルでも、アウトドアでも、じゃあ宇宙服は？（笑）面白そうだから試しに問い合わせてみようかな…C3-NETはいつでも大歓迎です！
ヨモ タケシ
