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起業から企業へ…成長期


2023.03.22

今回は起業に成功し企業として成長する中で、モノづくりに起きる変化…そのごく一部についての話です。

 

【成長期における生産の壁】

起業に成功して200-300点前後の計画的発注が可能になったとき、企業として成立した喜びを感じることでしょう。
縫製工場においても、通年の見通しが立つことは非常に効率が良くなり、生産を請け負うことに積極的になるかもしれません。
しかし「なるかもしれません」はその言葉の通りであり、まだ悠々とした安心感の上にあるものではない場合があります。
一般的に会社設立に10年後までに90%以上の会社が、倒産・廃業をするというデータが示す通り、取引が増加し売り上げが伸びるということは、与信管理が小規模の頃よりも厳しくなるということでもあります。

 

【モノづくりを支えてくれた背景を忘れない】

さて経営・財務については専門家の方に委ねとして…
200-300点の生産が日常的になると、今度はお願いする立場から、お願いされる立場に逆転するかもしれません。
それまでは見向きもしてくれなかった立派な?縫製工場や業界各社が、新たな取引を求めてくることもあるでしょう。
ここで心の片隅に置いて頂きたいのは、立派な?各社に“気軽に”乗りえるタイプの会社は、後々苦労をすることが少なくないということです。
この点につきましては、具体例やソースを示せず申し訳ないのですが、感情論ではなく私の目で見てきた事実の一部です。
有名ブランドの中には、創業期にお世話になった仕入れ先を、ずっと大切にされているケースが度々見受けられます。

 

【生産は精密なスピードと決断力】

しかしながらC3-NETは育ててくれた縫製現場や仕入れ先に、いつまでも固執することを推奨している訳ではありません。
小ロットが得意ではあるが、大量生産は不得意な現場はあります。
布帛工場にカットソーを依頼しても上手く仕上がらないでしょうし、その逆も然りです(極論ですが)。
縫製現場の規模や所有している設備は、その時のデザインやトレンドによって、変化を必要とします。
そういった時には躊躇なく、新規仕入先を探して依頼すべきです。
また時として、数千から数万点の生産が突如必要な場面があるかもしれません(別注やコラボ等で)。
これも今までの工場で対応できれば良いのですが、キャパ的に困難である場合は、国内外問わず打診をするなど、初動が成否を決めることになるでしょう。
固執することは、縫製現場から見た場合に、喜ばしく有難いことである反面、「迷惑をかけることはないだろうか」という、相反する感情を持っている場合もあります。

 

【譲れない正確性】

間違いは誰にでも起きる可能性があります。
MD・営業、デザイナー、パタンナーの誰しも完璧な人は存在しません。
その中で生産管理はすべての流れの中で、最後のチェックが機能する職種です。
生産管理は誰よりも「モノづくり」において、正確でなければならないのが実情です。
そういった意味では誰よりも聡明でもあるべきだと思います。
なぜここでこの話がでるのか?
小規模生産の時には、正直言って間違いやミスは修正が易く、また万一そのまま仕上がっても傷は浅く、フォローに要する労力も少なくて済みます。
しかし数量がその10倍、100倍になったとき、同じ事象が起きると、修正は困難であり、損失は甚大なものになります。
その損失は目先の金銭的なものだけでなく、取引先からの信用という、未来の財産を失う可能性もあります。

過去の繰り返しになりますが、アパレル生産管理は他業種のそれと比べて、やや周囲や当事者の職務的価値が認められ辛い実情は否めません。
完璧にできて100点、できなければ減点の発想では、企業の損失に結び付く事案が起きる可能性は下がらないと思います。
これは長く生産管理に携わり、また生産管理の方々と、やり取りをしてきた私が、常々感じていることです。

起業から企業へ進化する過程において、人も同様に知識や知恵の為の学習を進化させることが、これからも「生き残るモノづくり」に必要だと感じます。

ヨモ タケシ